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【議事録】12/15(金) 2023クラブカンファレンス

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【議事録】12/15(金) 2023クラブカンファレンス

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12月15日(金)にいわきPITにて「2023クラブカンファレンス」を開催いたしました。会場には約130名のファン、サポーターの皆様にお集まりいただき、今シーズンの振り返りや来シーズンのチーム編成についてクラブからご説明を行なった上で皆様との意見交換を実施いたしました。平日にも関わらず多くの方にご来場いただけましたこと、心より感謝申し上げます。

開催概要

日時:2023年12月15日(金)19:00〜21:00
場所:いわきPIT
登壇者:
株式会社いわきスポーツクラブ
・代表取締役 大倉智
・監督 田村雄三
・マーケティング&ファンエンゲージメント マネージャー 川﨑渉
・社長付 運営担当 植竹宏介

代表取締役 大倉智 ご挨拶

大倉:本日はお集まりいただきありがとうございます。初めに、たくさんの望まない移籍リリースが流れていると思います。僕はセレッソ大阪で3年、湘南ベルマーレで11年、いわきFCで8年なので、約22年この仕事をしているのですが、こんなに移籍したのは初めてです。私自身もある程度の予想はしていましたが、今年の移籍市場はいわきFCの選手が中心で回っていると言われるほどいわきFCの選手は非常に評価が高いということなので、オファーが来るというのは嬉しいことだと思います。ただその反面、(積み上げてきたものを)継続しづらいという側面もありますが、その分選手獲得に向けて動いておりますので、今後皆さまに良いお知らせができればと思います。
また、先日リリースしました通り、いわきスポーツクラブの株がドームから離れました。このことについて、少しご説明をさせていただきます。昨年7月にドームが伊藤忠商事株式会社の傘下に入り、いわきスポーツクラブがどのような体制であるのが最良か、ずっと検討されてきました。その結果、いわきFCを中心としたチーム経営については、設立当初の想いや明確なビジョンを持っている安田に委ねるのがベストだろうという結論に至ったというのが背景です。ただ、今回の株式譲渡後もドームは変わらずいわきスポーツクラブをサポートしてくれることが決まっていて、いわきFCパークの所有も含めてより良いサポートを受けられることになっています。ただ、資本関係がなくなるので不安に思われる方もいらっしゃるかと思いますが、皆さまにはご安心いただきたいというのが本日冒頭でお伝えしたかったことです。
それでは、本日はよろしくお願いします。

チームについて

大倉:この1年を振り返ってどこがポイントでしたか?という質問を受けることが多いのですが、私は開幕戦だと思います。というのも昨年の主力が少し抜けたり、怪我人がかなり多くて、キャンプから良い準備ができなかった。昨年、MVPやベストイレブンに選ばれた選手がたくさんいて、もしかしたらオファーが来るのではないかと思って何かを期待して待つ時間があったりとか、地に足がついていないっていう状況に実は懸念していて、契約も伸びて準備が遅くなっていくというのがオフにあった。そして怪我人が出てそのままシーズンに入っていって開幕藤枝さんにやられた。そこの準備がしっかりできてなかったというのが私の中の一つ反省です。

もう一つ大きなポイントは監督の交代です。本当は交代したくなかったです。なぜなら、もともとスポーツで「人づくり、まちづくり」といっている以上は、新しくJリーグの監督になった村主も育てていかなければならないという気持ちがあったので、本当に監督を変えるつもりはなかったです。ただ、選手たちも自信をなくしていて、自分たちで解決策を見いだせない状態で、答えを求めていたという状況だったので、ここは監督を変えざるを得ないということで、決断しました。
田村とは普段から話し合っていましたし、解決策も明確だったので田村に後任を任せました。監督を変えてからは数字上、明確でした。この辺りは田村監督の手腕が発揮されたのではないかと思いますが、監督を変えたということは今年のチーム編成がうまくいかなかったということなので、ここは今シーズンで非常に大きな出来事でした。

田村:私が監督をするにあたり、前者を否定しないこと、そして今までやってきたことを否定しないことを決めました。大倉から監督を指名された際に、まず過去5年間で降格したチームのデータを調べました。

・失点の数が減らないチームはそのまま降格する
・ハーフシーズンで下位チームはほとんど上にいかない

私は大したことはしてなくて、私がやったことというのは「らしさを取り戻す」という言葉の通りで、失点の数を減らすために、クロスの守備をゾーンからマンツーマンに、そして、より敵陣でボールを奪うために攻撃的に前に出ることでした。
とは言っても、データを見ると私が就任してからも32失点しており、あまり変わってないように思われるかもしれません。

ただ実は、攻撃回数においてはJ2の中で1番です。しかし、より敵陣に入る回数が多かった反面、失い方も悪かったので被攻撃回数はJ2最下位です。面白いのはこれからで、被シュート数が8位で、被チャンス構築率は2位です。そして被シュート成功率は最下位です。
このデータから読み取れるのは、我々は攻撃もしているし、攻撃されてもいるが、相手に決定的なチャンスを与えた回数が少ないのに高確率で得点を決められてしまっているということです。逆に攻撃の方でいうと、シュート成功率が18位なので決定力がなかったです。攻撃回数リーグ1位、ペナルティエリア侵入回数リーグ4位ということで攻めることはできていますが、得点のデータを見るとクロスの本数や成功率が15位。クロスの質や中に入ってくる質を向上させないといけないことがわかります。
一方、失点のデータは、デュエルの勝率や被チャンス構築率はリーグ2位なので良い結果だと思いますが、少ないチャンスで失点してしまっているので、クロスへの対応などは来季の最重要改善事項だと思います。残り15分での失点も多いです。
私が就任して何をしようかなと思ったときに、先ほども言ったように敵陣でどれだけボールを奪えるかを意識しました。ここのデータはJ2で1位です。
ここは来季も意識してやっていきたいと思います。

事業面について

川﨑:まずは、今シーズンも多くのご来場、ご声援ありがとうございました。新体制発表会の時に、大倉から平均3,500人を目指すとあったと思いますが、その目標に向かって我々クラブ一丸となって頑張ってきました。結果は3,491人ということで、目標には僅かに届かなかったものの、収容率は69.2%ということで、J2では1位となりました。昨年と比べれば、平均入場者数を1,317人増やすことができましたし、ラスト3試合を含め4試合では完売試合をつくり出すことができました。昨年と大きく違うところは、アウェイサポーターの来場者数です。5,048人という少ないキャパのなかではありますが、アウェイサポーターを含めて満員の熱狂空間を作り出せたのではないかと思います。そしてもう少し深掘りすると、昨年に比べてその年に初めて来場した新規来場者数が1.7倍に、一人あたりの平均来場回数は2.4試合から5.2試合と約2倍に増えました。来年は限られたキャパの中で、より多くの試合で満員の空間をつくっていくために、蓄積したデータを分析しながら、より多くの方に来場していただけるように努力していきたいと思います。

大倉:売上としては、昨年が8億円に対して、今年は10億円になりました。昨年と大きく変わった点は、チケット収入が3倍になりました。スタジアムのキャパがあるので仕方ない部分もありますが、J2平均でいうと売上は下のカテゴリーにいるので引き続き、努力していきたいと思います。

スタジアム観戦者調査について

一番多くいただいたご意見としては「スタジアムの通信環境や観戦環境」についてのご意見です。キャパシティなどのハード面の改修はなかなかすぐにはできないですが、通信環境に関してはクラブとしても深刻さを理解しております。現在、いわき市さんと一緒になって、各通信会社様と改善に向けて議論・検討中です。あるキャリア様からは具体的な改善方法などをご提案いただいているなど、前向きに検討いただいておりますので、時間はかかるかもしれませんが、クラブとしても真摯に向き合っていきます。メインスタンドも個席にして欲しいというお声ですが、新スタジアムが完成するまでは当面改修は難しいと思いますが、いわき市様ご協力のもとで、メインスタンドに関してはベンチシートのナンバリングを行い、指定席化をさせていただきます。

植竹:特にQRチケットでの入場や入場記録、決済サービス、皆さまのソーシャルメディアへの投稿など、すべての安心・安全な試合観戦のためには通信環境の改善が肝になってくると考えています。これは私たちも重要な課題と考えておりますので、改善に向けて引き続き努力していきたいと思います。

川﨑:次に多かった声は「座席運用やチケット販売、待機列・ゲート運用、観戦マナー」に関するご意見です。来場者数が増えたことにより、チケットが買いたくても買えない状況が生まれたことによるお声だと理解しておりますが、来シーズンからはチケットのファンクラブ先行販売を設けさせていただきました。待機列の運用、混雑という面につきましても、課題を整理した上で見直すべき運用は見直し、開幕までにルールを明示したいと思います。

また、グッズやスタジアムグルメの待ち時間を少しでも短縮するための取り組みとして、スタジアム全体でオールキャッシュレス決済サービスのサービス導入を検討しています。(現金で独自プリペイドカードを発行する取り組みも含む)
過剰な座席確保や心無い野次への対応に関してもお声をいただきましたが、ルールを明示してスタッフによる現場でのご案内を強化いたします。

植竹:待機列運用に関しては、シート貼りと待機列整理の時間がポイントかと思っています。
シート貼りに関しては、早ければ試合の前日から始めることのできるような運用をこれから施設、警備会社ともコミュニケーションを取りながら検討していきたいと思います。また、待機列整理はグッズやスタジアムグルメにも並びたいというお客様が多くいらっしゃいますので、できるだけ時間を遅くすることで、他のコンテンツも楽しんでいただけると考えております。このあたりにつきましてはこれからいわき市や警備会社と実施可否について検討する予定です。

川﨑:次に「駐車場やアクセスに関するご意見」に関してです。ハワイアンズスタジアムいわきがある21世紀の森公園内の駐車場は、野球の開催などに伴って公園内の駐車場を共用しながら運営していかなければならず、皆さまにはご不便をおかけしたと思います。駐車場のキャパシティを広げることはすぐにはできませんが、混雑を回避するための取り組みとして、えきスタウォークをはじめ地域の皆さまと連携した取り組みでは一定の成果を得ることができました。あとは誘導員を来場者に応じて適切な配置をするなど、引き続きクラブとして混雑緩和に向き合って、改善に取り組んでいきます。

植竹:周辺住民の皆さまへも、道路が混雑してしまったことで試合をネガティブなイメージに捉えられてしまう残念な事象もありました。来シーズンに向けて、できるだけ公共交通機関を使ってきていただいたり、乗り合いできていだだくなど、駐車場の混雑緩和を改善できるような取り組みを考えております。例えば、今シーズンの最終戦に関しては、帝京大学の学生の皆さんがいわきまで来ていただき、えきスタウォークを盛り上げていただきました。現在もありがたいことに、いわきFCと組んで盛り上げたいという大学生が多くいらっしゃいますので、皆さまと一緒になって取り組みを盛り上げていきたいと思います。

大倉:今年10月に、私たちが持っている様々な課題をいわき市さんと擦り合わせる時間がありました。いわき市さんも課題を書いた紙を持っていて、擦り合わせるとほぼ同じ課題を持っていました。その一つが、座席のナンバリングです。予想しない課題がシーズン途中で出てきましたが、できる限りの課題は改善していきたいと思います。

大倉:では続いて、来季のチーム編成についてお話ししたいと思います。これは私たちクラブの哲学をまとめた膨大な資料のなかにある一部ですが、チームビルディングという項目があります。なぜ「90分間止まらない、倒れない」という魂の息吹くフットボールをするのか。それは地域の歴史や生き様にリンクし、最終的には熱狂空間を生み出します。
我々はチームビルディングをこう定義しています。

有名な選手や監督を獲ってくるのではなく、選手の成長が勝利につながる。選手の成長曲線と勝利の確率は相関関係にあると信じています。選手たちは短いサッカー人生のなかで、もちろんお金や環境、ステップアップも大事です。
特に今年は彼らがいわきでやってきたことが評価されているということなので、我々は胸を張って出てこいと言うしかありません。ソーシャルメディアで筋肉製造工場などと言われているのを見ますが、ちょっと良い選手を育てすぎたなと思っています。
というのは冗談ですが、実はいわきの選手たちは、茶髪禁止だったり、一生懸命まともにサッカーをするのが今の日本の社会の風潮ともリンクしており、一生懸命頑張れるというのが、サッカー界から求められているのだと思います。主力が抜けて11人いないんじゃないかと心配されている方もいらっしゃるかと思いますが、そこはご安心ください。

事前にいただいた質問への回答

Q.相馬市、南相馬市、新地町、飯舘村をホームタウンに迎え、浜を照らす光を具現化してほしい
大倉:浜通りを意識しているとは言うものの、なかなかクラブ側の体制も含め難しい現状があり、いけていないのはご指摘通りです。色々な出会いもあるので、さまざまな取り組みのイメージは描ける部分もあり意識はしておりますが、まだ具現化できていません。今後、意識はしていきたいと思います。

Q.ハワイアンズスタジアムいわきの実質入場可能人数は?また、より多くの集客をするための検討は?
植竹:答えとしては6,400人です。ただ、これは消防法などに基づいた施設としての収容数であり、Jリーグの定める入場可能数というのは定義が違います。まず、見切れ席(ピッチ上全てを見渡すことができない席)は除く必要があり、さらに芝生席、そして記者席などのお客様用ではない席は、6,400人から除く必要があります。それらを全て除くと5,048という数字が出てきて、それが、Jリーグがクラブライセンス上で定めるハワイアンズスタジアムいわきの入場可能数となります。したがって、私たちがJリーグの公式戦を行うときは、この5,048人を上限として、チケットを販売しているということになります。

いわきとして初めてのJ2リーグの開催で、「このぐらいのチケットを販売すればこのぐらいの着券率になる」というのが、初めはなかなか分からなかった部分もありましたが、幸い4試合で完売を経験することができ、おおよその傾向は掴めました。ですので、来シーズンはここをより精緻に把握し、限られた5,048というキャパシティを埋めるためのチケット販売機会を最大化することによって、できるだけ多くの方に来ていただきたいと考えています。「チケッティングの精緻化」がより多くの集客をするための肝だと考えています。

Q.自由席の一般入場について、退場時は使用しているバックの出入口を入場時にも利用するなどして、バックスタンドの席とゴール裏を分けた入場はできないか?
植竹:退場時は基本的に一方通行なので大丈夫ですが、人が二人すれ違うとギリギリというレベルの道幅です。ですので、入場ゲートとしては再入場など入退場が同時に発生するゲートとしては危険という判断で、現状は退場時のみ開放しています。来シーズンも同じ運用を想定しています。

Q.スタジアムグルメの混雑解消に向けた検討は?
植竹:まず、混雑解消のためのキャッシュレス決済サービスの導入です。先ほども話があがりましたが、これは、全ての販売店舗に対してクラブから共通のキャッシュレス端末をクラブから提供する予定です。どこのお店に行ってもお客様には同じキャッシュレス端末で同じ決済サービスが利用いただけることになります。これが慣れてくると、小さい端末なので、例えば並んでいる途中にオーダーを取ることもできるだろうし、現金の受け渡しがないので、決済の時間短縮になることも想定しています。ただ、クレジットカードなどは問題ありませんが、通信環境が必要なQR決済に関しては、ご利用の端末キャリアなどによって通信環境に影響を受ける可能性があると考えています。また、1DAYプリペイドのような仕組みも検討しているので、現金しかお持ちでないお客様も利用できると思います。あとは抜本的なところですが、場外のレイアウトを見直し、いわき市さんにブース出店が可能なエリアについてご相談をさせていただいているところです。ブースを1箇所に固めるのではなく、分散させることで少しでも混雑を解消できればと考えています。

Q.新スタジアムが完成するまで複数年を要する中で、来場したい時に来られない状況が続くとスタジアム離れに繋がる。来場できない人のニーズにクラブとしてどう応えていくか?
川﨑:先ほど植竹から説明があった通り、前提として5,048人というのがJリーグで認められている入場可能数なので、5,048人を超えることはできません。なので、1試合でも多くの試合で5,048という数字に近づけられるような努力をしたいと思っています。よく「完売してるのになぜ5,000人に届かないんだ」と聞かれるのですが、チケットをお持ちの方が100%スタジアムにお越しいただけるかというとそうではないので、それも踏まえたチケッティングの精緻化というのが求められます。

その中でも、来場したくてもチケットが買えないという人が出てしまうのも事実です。来年はそのような状況が今年よりも増えると思いますが、例えば、テレビ中継本数。昨年まではJ3で実績1回だけだったのが、今年は6回も地上波で中継していただけました。このような関係性というのを引き続きメディアの皆さんともつくりながら、来年はさらに多くのテレビ中継をしていただけるようにクラブとしてもアプローチしていきたいです。また、新しいチャレンジとして、ホームゲームでもどこかでパブリックビューイングを開催してもいいんじゃないか?というアイデアもありました。そんなアクションも前向きに検討してみたいと思います。

Q.いわきFCパークにオフィシャルグッズショップが欲しい
川﨑:現在、常設のグッズショップはないですが、実は来年からいわきFCパークのアンダーアーマーファクトリーハウスで、いわきFCグッズの取り扱いを始める動きがあります。開幕前を目処に開始できるように準備をしているので、お待ちいただければと思います。 また、市内の各所(ショッピングモールやお店など)でもグッズを取り扱いたいというありがたいお声を頂戴しています。なかなか直営のグッズショップを運営できる規模ではないですが、徐々にグッズが買える場所を増やしていきたいと思います。

Q.いわきFC Girls U-18、トップチームの設立予定はあるか?
大倉:これは、現状ありません。今回、いわきFC Girls U-15出身の佐藤さんが尚志高校に行って、短大を出たあと大宮アルディージャVENTUSへ入団が内定し、いわきF Cのアカデミー生から初めてのプロ選手が出ました。タレントをアイデンティフィケーションして、デベロップメントする、TIDといって運動工学でいえばまさに正しいパスウェイだと思います。上に上がれば上がるほど競争があり、そこに勝ち抜いた人しかプロになれない。男子のほうもそうですが、子どもの力はどこでどうなるかわからないとはいえ、なかなかプロサッカー選手が生まれる保証はないのが事実です。タレントプールと言われますが、これは確率論なので、東京とか川崎とかといわきとではパイが違いますし、我々としては必ずしもプロサッカー選手になれなくても、どんなパスウェイでも良いよねという方針を掲げています。もちろんこの地域からプロサッカー選手が出てきて欲しいなという願望はありますが、そのような現状もあるので、いわきFCで女子のユースを持っても現状は競争力を保てない、ただやってるだけになってしまうと思うので、今は持たないという判断をしています。もちろん、将来的にはわかりませんが。そんな中、今回佐藤さんが自分の力でプロになったのは、今の我々のアカデミー育成方針の中で言うと、これはあるべき姿だなと思いました。

Q.いわきFC U-18からトップチーム昇格が今までないようだが、U-18の卒業後はどのような進路に進んでいるのか?
大倉:みなさんご興味あると思うので、資料をまとめました。勉強して東京大学を目指して一浪し、もう一回今年受験でチャレンジしている子もいます。専門学校でトレーナーの勉強をしていわきFCのトレーナーになりたいと頑張っている卒業生もいます。さまざまな夢に向かって頑張っているという現状です。

Q.来季の方針、目標は?
大倉:これは田村監督とも悩みましたが、まだチーム編成が終わってないということもあるので、まだ定まっていません。ただ、私個人としてはプレーオフに行ったら面白そうだなというのはありますが、そのためには今年よりもあと7勝ぐらい積み上げなければならないし、そんな簡単なものでもないなと思います。

田村:「この数字を目指します」というのを言えたら皆さんも理解しやすいと思いますが、来季は20チームで全38試合のリーグなので、おそらく降格のボーダーラインは勝点38が目安になると思います。そして、プレーオフの勝点が60〜65なのかなというところかなと。つまり、15勝か16勝はしていかないと届かないと思っています。だいたいの目指すところとしては僕の頭の中にはありますが、その勝点から逆算して、シーズンを第1クール、第2クール・・・、のように区切るような形で1年間の計画をつくって、この期間でいくつ、この期間でいくつ・・・、という具体的な目標を立てて、その根拠も含めて来年選手に示せたらなと思っています。

Q.失点のパターンがいつも同じと感じるので、そこを克服してほしい。また、J2は他のチームのレベルが上がり、体の使い方が上手いのでファウルを取られたり、ボールを奪われたりすることが多かったと思ったが、その辺りはどう感じているのか?
田村:横からの失点。クロス、セットプレー含めて横からの失点は多かったです。そこに関しては課題ですし、取り組まないといけないと思います。あとは、最初にデータでお見せしたように、与えるチャンスは少ないのにシュートが入ってしまう。「このぐらいなら打たせても大丈夫でしょ」というのを打たせるとやっぱりJ2だと入ってしまう。最後のゴール前の守備意識というか、脚を出すというところだとか、もう1メートル寄せるだとか、あと10センチだとか、そういう細かいところを突き詰めていかないと、根本的には改善できないと思うので、そういうところも取り組んでいきます。

大倉:体の使い方というところは、私の中でも今シーズンを振り返って、結局J2で本当にフィジカルで圧倒できたの?という疑問がありました。データ上、勝っているように見えますが、私の感覚では意外と負けている。J3ではもっとやれていたのに・・・、というのが結構ありました。なので、そんな話をこのオフで議論し合って、「フィジカルスタンダードを変える-ver.2」ではないですけどそのようなイメージで、よりサッカーとストレングストレーニングを結びつけて新たな取り組みってないだろうか、というものを探してある結論に達しました。例えば、ラグビー選手のような力強さと陸上選手のようなしなやかさと瞬発力、そしてレスリング選手のような身のこなし。当然重いものを持ち上げることも大事だし、今までの積み上げがあるからこその結論ですが、来年はここのストレングストレーニングについては少しやり方を変えて、よりサッカーに接続するということをやっていく予定です。これが体の使い方とかそういったところにつながっていて、質問された方は私と同じ感覚をもしかしたらお持ちなのかもしれません。

当日の質疑応答

Q.秋春制へのシーズン移行に関してクラブとしての考えを知りたい
大倉:まず、いわきは一応、降雪地帯というところからは外れています。降雪地帯の方が一番リスクを負うということで、どうしてもそこの議論が先行していて、なかなか皆様とのタウンミーティングなどをするまでもないという状況でここまできてしまったというところがありますが、私もXでコメントした通りで、そもそもシーズン移行が目的ではなく「日本サッカーがどうなっていくんですか?」というところ。Jリーグの理念にある日本サッカーの水準向上をしていくためには、ACLのカレンダーが変わっているとか、夏場が危険な程の暑さになっているとか、いろんな社会環境や自然環境が変わる中で、世界レベルまで向上していくためにはシーズン移行していかないと厳しいよねというところです。ACLだって今のままだと日本のチームは予選と決勝で違うチームになってしまいます。そうするとアジアも取れません。

なので、一番大事なのは「日本サッカー界どこに向かうんですか?」というところが目的にあって、だから賛成という票を出しました。でも、各論に入ると色々課題が積み上がっていますし、向き合わなければならない問題があるので、残された課題に対して、みんなで議論して良い方向に向かえばいいなと思います。

Q.一気に主力選手が抜けてしまったが、推しの選手がいる女性ファンなんかはとてもショックを感じていると思う。クラブとしてはどう感じているのか。
大倉:当然、選手個人にファンがついて、選手の背番号を背負ったユニフォーム姿の子供達もたくさんスタジアムで見ていますし、皆さんの気持ちはよく分かります。

少しサッカー界の歴史を紐解くと、仕組みとして、昔のJリーグは年齢に係数がかけられて移籍しようとすると必ず移籍金がかかるという仕組みがありました。要は自クラブの選手をある程度お金でプロテクトできたんです。それがボスマン判決というのがヨーロッパであって、そこからは契約が切れた選手はフリーになって、契約があってもお金を払えば解除できるという流れになってから、選手はどんどん移籍するようになったんです。そうするとJ2の下位のチームは毎年チームをつくり直さなきゃいけないということが起きるようになりました。つまり根本的な仕組みがそうなっているということ。選手には代理人がつくようになったし、代理人と選手とのコミュニケーションも関係してくる。

ということで、答えにはなっていないですが、今の質問に対しては私も同じように思うことはあります。でも、今後も起きるからどうしようかというのは正直答えを持ち合わせていません。ヨーロッパに行く選手は特にそうですし、仕組み自体がそういうことになっているので、どのクラブでも同様のことは起こっています。なかなか慣れるというのは難しいですし、ファンの皆さんの心情を想像すると心が痛いなと思っています。

Q.指定席化されることによってリスクが伴うのではないか?
川﨑:当然空席が出るリスクはあります。ですが、まずはシーズンチケットホルダーの方になるべく全試合、もしくはそれに近い来場率を保っていただけるようにクラブとしては努力していきたいと思っています。そのためにリセール機能の導入もしますし、とにかく着券率をあげる努力。これは向き合うべき部分だと思っています。

大倉:そもそも、今まで自由席であるがために、夏場でも長時間炎天下の中で並ばなければならない。それを解決したいという思いで、指定席にして座席が決まっている状況を用意することができれば並ばなくても良いよねと、そこから出発しています。

Q.指定席ということは、シーズンチケットを買うと1年間同じ席になるのか?また、シーズン途中に席替えはできるのか?
川﨑:1年間固定の席になる。途中で席替えはできません。

Q.YouTubeで公開されているBEHIND THE SCENESをいつも楽しみにしている。アウェイの試合も全試合出していただくことはできないか?
川﨑:今季も、スタッフが帯同できる時やマーケティング観点で重要なポイントとなる試合は映像を制作しました。来シーズンもなるべく制作できる試合は制作したいですが、全試合はなかなか難しいのが現状です。なるべく多くの試合で制作できるように工夫・検討していきます。

Q.DFの選手が多く抜けてしまって人数が揃うのかという心配もしているが、大丈夫か。
大倉:当然、人数は揃うのでご安心ください。

Q .来年もUAシートの販売はあるのか。今シーズン利用させていただいたが、特別感が少し足りないように感じた。アウェイに行った際に、お土産付きなどがあったので検討して欲しい。
川﨑:もちろん、来季もUAシートは継続していきたいと思います。エリアが区切られていないことの課題などは感じていましたが、プラスの特別感としては、貴重なご意見としてお土産付きも検討したいと思います。

Q .今シーズン、ハワイアンズスタジアムが5000人という頭打ちまできた。スタジアムに来たくてもチケットが買えない人のために、例えばアロハフィールドなどでパブリックビューイングを実施するなど、雰囲気だけでも味わえる環境をつくるのはどうか?
大倉:実は、今シーズンのホーム最終戦の際もパブリックビューイングとしてそのような手段を検討しました。前向きに検討したいです。

Q .試合日程の告知ポスターの配布が遅い。これから開幕しますという時期にもう少し早く配っていただきたい。
川﨑:試合日程が1月22日に発表されてからの最短で準備し、配布できるようにいたします。

そして、2024年以降がとても大事になってきます。特に、「お金はどうするの?」「場所どうするの?」「どうしたら市民の皆さんの理解を得られるの?」という部分です。これは、スタジアム単体ではなかなか考えることができません。そこにスタジアムがあることでの経済波及効果やSROIと言われる社会的効果を数値化していかなければ難しいです。「いわきFCが好きだ!だからスタジアムをつくってくれ」ではなく、地域の人があったほうが良いと理解してもらえるように、分科会を進めていきたいと思います。また、皆さんの声を聞きながらやっていきたいと思います。

例えば、いわきの人が東京にいて、試合を観に2週間に一回いわきに戻ってくる。例えば、家族を誘って、親がハマって、友達を連れてくる。これもちょっと社会効果ですよね。これをどう数値化していくのかを整理しながら活動しております。もしかすると、スタジアムが完成した後もこの議論は続いていくかもしれません。可変的に、スタジアムも時代と共に変わっていくし、さらにスポーツの持つ意味、力が関係してくるかもしれません。スポーツを「する」「みる」「ささえる」だけでなく、実は一見関係なさそうに見えてその外にあるいろいろなものにも連動している。スポーツチームは人が集まってくるし、発信力もあるので、企業様が何かをやりたい時に一緒に取り組むことで何かが生まれることも思いますので、今後も継続していきたいと思います。2040年には人口が半分になると言われているなかで、いわき市が住みやすい街に、選ばれる街になるために、スタジアムや場所がそれに寄与されるのであれば良いかなと思います。