MESSAGE │ ROOM-社長の論説-

2020.12.31

ROOM -社長の論説-
「2700人の壁」を超える

2020年のいわきFCに、温かいご声援をありがとうございました。
JFL1年目の成績は、6勝3分け6敗。勝ち点21で、全16チーム中7位。率直に言って、悔しい思いでいっぱいだ。
当然ながら、選手もスタッフも一丸となって毎試合、勝利に向けて努力を重ねてきた。しかし、思うような結果を残すことはできなかった。

今年のJFLのリーグ戦は、新型コロナウィルス感染拡大の影響で15試合に短縮。春先の自粛期間を経て、7月にリーグ戦が始まった。
開幕戦ではいわきFCらしさが出たゲームだった。しかしその後、チーム内に新型コロナウィルス感染者が出たことで、活動が制限。その影響もあって、チームは2戦目のアウェーで大敗を喫してしまう。
アウェーではその後も思うように勝てず、10月には3連敗。どうにもならない試合は一つもなかったが、いい試合と悪い試合がはっきり分かれていた。11月に入ってからのラスト5試合はよかったものの、時すでに遅し。最終的に「あと1勝」に泣く結果となった。

■心のどこかに、甘えが生まれている。

何が原因だったのか。あらためてシーズンを振り返り、やるべきことを徹底できていなかったことを実感している。
先日、チーム創設当初からスポンサーとなって下さっている、浜通り交通の永山剛清代表取締役のもとに、シーズン終了のご挨拶にうかがった。
永山さんは今シーズンの結果が本当に悔しかったそうで、目に涙を浮かべながら、こんな言葉をかけて下さった。

「俺はいちスポンサーではなく、お前達の仲間だと思っているからあえて言うよ。お前ら何をカッコつけているんだよ! もっと泥臭くやれよ!」

永山さんの言葉が、強く心に刺さった。
もしかすると、自分達は「90分間倒れない、止まらない、魂の息吹くフットボール」の本当の意味を忘れ、小手先で、上手くプレーしようとしていたのではないか。
チーム創設から5年が経ち、入って来る選手のレベルは格段に上がり、サッカーは洗練された。でもその反面、心のどこかに甘えが生まれているのではないか。
J1にも引けを取らない恵まれた環境があることに、どこか甘えていたのではないか。
ストレングストレーニング一つにしても、本当に必死で取り組んでいたのか。やらされてばかりで、能動的に取り組んでいない選手がいたのではないか。

選手達はみんな素直な好青年だ。このチームで成功したいと、本気で思っている。震災をきっかけにチームが誕生したという背景も、ちゃんと理解している。
でも、意識もプレーのレベルも、まだまだ本当のプロとは言えない。
そして選手達がやるべきことをやり切れていないのは、コーチングスタッフやフロントの働きかけが不足していたことも、大きな要因だと思う。
チーム創設から5年が経ち、個人的にも忘れていたことがたくさんあった。外で偉そうにいろいろ語っていても、まだまだわかっていないことも多くあることにも気づかされた2020年だった。

■JFLナンバーワンの集客力。

もちろん、よかったこともある。
幾度となく言ってきたことだが、われわれはJリーグへの昇格を目標とは考えていない。 いわきスポーツクラブのビジョンはあくまで、いわき市双葉郡の人づくり・まちづくりに貢献すること。Jリーグ昇格はあくまで、ビジョンの達成に向けた手段である。
チームが目指しているのは、90分間止まらない、倒れない、魂の息吹くフットボールによって、見に来てくれた地域の人達の心を動かし、熱狂空間を作り出すこと。11月のラスト5試合については、それができていたと思う。

成果を測る指標の一つが観客数だ。9月から有観客試合の開催が可能となり、今年のホームゲームには平均1286人のお客様にご来場いただいた。
この数字はJFLでナンバーワンであり、J3の平均は約1400人だから、J3全クラブの中でも上位に入る。
そして大詰めとなった11月22日の第29節・ヴィアティン三重さんとのホームゲーム。この時の熱気はすさまじかった。観客数は1828人。今年のJFLで第2位の数字である。
昨年まではJ3への昇格要件として「ホームゲーム来場者数で平均2000名以上」というものがあった。今年は新型コロナウィルスの影響で、それが撤廃されていた。コロナ禍の中で平均1286人、最大1828人を動員できたことをどう評価すべきかは難しい面もある。だが、十分に素晴らしい数字だったと思う。改めて、会場に足を運んでくださった方々へ御礼を申し上げたい。

今年の成果を測るもう一つの指標が、ソーシャルメディアのフォロワー数だ。ファン獲得のため、いわきFCが特に力を入れているのがインスタグラムで、フォロワー数は約1万3千人。この数字はJ3、J2の中でもトップクラスで、今も毎週100人近く、フォロワーが増え続けている。
そして今年からスタートしたnoteも現在、Jリーグのクラブと比較してもトップクラスのフォロワー数だ。
ソーシャルメディアに力を入れることで、より多くの方にいわきFCのストーリーを知っていただき、それがチームの価値向上につながる。そういう意味でも、上々の成果だと評価している。

■折り返し地点の今、チームも会社も変わらねばならない。

ただし、いわき市の人口は約35万人、双葉郡は約6万人。そこから考えると、観客動員数もフォロワー数もまだまだ伸ばせるはずだ。
今年は11月7~8日の二日間、21世紀の森公園で「いわきドリームチャレンジ」を開催した。このイベントには、1日当たり約4000人の方に来場いただいた。
それなのに、イベントのトリとしていわきグリーンフィールドで行われた第27節・松江シティFC戦の観客動員数は約1300人。もちろん新型コロナウィルスの影響もあるだろうが、イベントだけを楽しんで、試合を見ずに帰った方が約2700人もいたわけである。

正直、現実を目の当たりにさせられた。われわれが超えなくてはいけないのは、この「2700人の壁」だ。

昇格を目指す熱い戦いは素晴らしいエンターテインメントだったし、チームへの注目度も確実に上がっている。でも、やれることはまだ山ほどある。
10年を一つの区切りとするなら、今がちょうど折り返し地点。もっと多くの人に試合を見に来ていただきたいし、そのためには勝利を目指し、感動を与えるアグレッシブな戦いを繰り広げなくてはいけない。そしてチームもいわきスポーツクラブという会社も、これからの次の5年に向けて、変わっていかねばならない。

それを痛感した。

チームが今の体制になった2016年から2019年まで、毎年カテゴリーを上げてきた。2020年は、上のカテゴリーに昇格できなかった初めてのシーズンとなってしまった。今はこのことを、前向きにとらえている。

JFLにとどまったのは、一度立ち止まってチームのビジョンを見直し、やらなきゃいけないことをブレずにもう一度ちゃんとやれ、というお告げだ。この1年をムダにしてはいけない。
今年のよかったことも悪かったことも、すべてを受け止めたい。そしてJFL1年目の経験を、いい未来へとつなげていきたいと思っている。

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