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【議事録】12/20(土) 2025クラブカンファレンス

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【議事録】12/20(土) 2025クラブカンファレンス

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12月20日(土)にいわき市文化センター大ホールにて「2025クラブカンファレンス」を開催いたしました。
会場には約200名のファン、サポーターの皆様にお集まりいただき、今シーズンの振り返りや来シーズンの展望についてクラブからご説明を行なった上で皆様との意見交換を実施いたしました。
多くの方にご来場いただけましたこと、心より感謝申し上げます。

開催概要

日時:2025年12月20日(土)14:00〜16:00
場所:いわき市文化センター大ホール
登壇者:
株式会社いわきスポーツクラブ
・代表取締役 大倉智
・監督 田村雄三
・シニアマネージャー 川﨑渉

2025クラブカンファレンス 議事録

大倉:本日はお集まりいただきまして、ありがとうございます。そして、1年間たくさんのご声援をありがとうございました。皆様と一緒に作り上げた10年目のシーズンだったと思います。
累計で83,000人の皆様のお客さんに来ていただき、大きな事故もなく終えられたことは何よりだったと思います。本当に皆様の協力なくしては、達成できなかったと思いますので、御礼を申し上げたいと思います。
今は若干忙しい時期で、話せることと話せないこともありますが、なるべくオープンに話していきますので、よろしくお願いいたします。

クラブを作って早いもので10年目のシーズンを迎え、今までで一番早くシーズンが終わってしまったと感じています。今シーズン、とにかく色々なことをやってきた中で、個人的に印象が残っていることが4つほどあるので、ご紹介したいと思います。

1つ目が10周年企画「いわきFCとわたし」です。これはJリーグさんと話していく中で、こういう企画を浦和レッズさんがやっていたことを教えてもらい、是非やってみようとなりました。
とにかく内容が濃くて濃くて。皆さんの想いが10年分詰まっていて、僕は読んでいるうちに涙も出てきてしまって…。
雨の中で配ったので、ビシャビシャになってしまったと思うのですが、本当に「いのち」とか「生きる」ということを物凄く感じたので、皆さんからいただいた財産だなと思いました。

大倉:同じようにフロントスタッフにもやってみようと思って、約20人に送ってもらいました。僕の知らないようなエピソードとか、家族の話とか、色々なエピソードがあることをしれました。身近でいつも働いているのですが、結構知らないことがありました。多かったワードを抜いてみると「決意」「感謝」「成長」などが多かったです。
それぞれの「いわきFCとわたし」も繋がっているんだなと。だから熱量出てくるんだななんてことを感じました。

2つ目は、ファンワークショップです。これは10年目を迎えたクラブが今後どこへ向かうのかも含めて、道を見失わないように価値観を言語化することを目的に、いわきFCに対してどう感じているのかなどを、一番身近にいるサポーターの皆さんに集まっていただき、自由に出していただきました。
これは大きな気づきになって、「家族愛」「リスペクトがある」「一貫性がある」「人生に密着」「地域密着」「選手や会社の直向きさ」「未来への希望」とか…。
10年前にクラブを設立した時にこうなったらいいな、というのが結構詰まっていましたので、僕自身の答え合わせにもなりました。
クラブがワークショップを通じて気づいたこともあって、「ハマドリって結構人気あるんだな」とか「グッズやクリエイティブがかっこいい」「スタグルがいい」「いわきらしさを大切に」などなど…。
多くの気づきがあって、これもクラブの財産になりました。変えていくところは変えていきますが、いいものはいいということで、継続してやっていきたいと思いました。

大倉:3つ目は、すみません。私事で申し訳ないのですが、本を書きました(笑)
これは今年の夏くらいに東洋館出版社さんから「書きませんか?」と言われて、一度はお断りしました。ただ、色々と話していく中で、これまでの10年間をまとめておこうかなと思うようになり、次の羅針盤になるようにと思ってまとめました。
22日からAmazonなどでも販売されるのですが、これまで話していないようなことも書いてあったり、このクラブができる前の話、ちょっと自分の人生やメッセージなんかも書いてあります。
ぜひ、機会がありましたら読んでいただきたいなと思います。

最後に、内田市長に数年前から「いわきFCはまちづくりのパートナーです」と言っていただいています。スポーツで社会価値を創造する、人づくり・まちづくりが目的で、サッカーはその手段でしかないんだと言ってきた僕らとしては、とても嬉しい言葉でした。
先日、福島民友新聞社 主催の座談会を行ったのですが、その中で内田市長が「いわきFCはいわき市のブランディングに寄与している」とポロッと言ったんですね。
これは重い言葉だぞ、と思って、終わった後に「ありがとうございます!」とメッセージを送ったら、内田市長は私がこんなに反応するとは思っていなかったそうです。
ですが、これこそまさに!だと思い、とても嬉しかったです。

これが、僕の個人的4大トピックスのご紹介でした。

大倉:少しだけ会社の話をさせていただきますが、この10年で本当に多くの方に足を運んでいただけるようになりました。
今年を振り返ると、完売が6試合で、平均入場者数が4,372人。年間来場者数は83,063人にご来場いただきました。収容率を見ると86.3%なので、スタジアムの約9割が埋まるところまで来ました。10年経って、このような興行が打てるようになったというのは、本当に皆様の協力なくしてできないので、この熱量をもっと増やしていきたいなと思います。

そろそろ飽和状態です。なので、単価を倍にしない限りだと思いますが、そんなことできません。
入場料収入というのは1億5000万円なので、J2の中で言うと真ん中から少し下ぐらいです。
なので、新スタジアムができれば倍になって見えてくるのですが、現状はあと5年くらい頑張ってやらないといけません。色々な形で集客できるアイデアなどを考えていかないといけないフェーズに来ているかなと思います。

大倉:売り上げは、今年の決算で約15億円です。おかげさまで10年間で一度も赤字になっていないような状況で健全に経営ができているかなと思います。
我々は、ちょうど水戸ホーリーホックさんと同じくらいの売り上げです。水戸さんは約30年もJ2にいたので、優勝した事実を奇跡という人はいるかもしれないが、これまでの積み上げた結果が結びついたと思います。スポーツはそのような結果が出ますので、本当に優勝できて良かったなと思いました。

水戸さんがJ1でどれだけやれるのかを本当に応援していきたいし、我々も参考になると思います。J1に居続けるということは本当に大変だし、ここからはお金が必要になっていくことは間違いなく現実にあるので、その辺りの資本政策を含めて今後考えていかなければいけないと思っています。

大倉:これは過去10年間の広告料収入やパートナーさんの数、ファンクラブの数だったりを示しています。
パートナーさんも当時4社から445社の皆様にサポートしていただいており、売り上げの3分の1になっているような状況です。
ソーシャルメディアのフォロワー数も12万人を超えました。Jリーグ60クラブの真ん中くらいになり、県内では一番多い。スポーツビジネスの中でソーシャルメディアはとても大事で、資産価値に繋がると言われるくらいなので、結構大事に追いかけているところです。

大倉:一方で、地域にしっかりと向き合っていこうというところで、昨年と比べて73回も多く地域に出ていきました。累計87,000人、27,000人の子供たちと触れ合ったことになりますが、選手たちが疲れている中でも積極的に出ていってくれました。
このクラブができた背景などを理解してくれているので、誰一人文句をいうことはありません。
ちなみに、今年一番行ったのはキャプテンの遠藤です。怪我していたので(笑)

これはかなり調整が難しく、本当に監督の理解がないといけません。
田村監督が積極的にいこうと言ってくれるので、今年は中山間地域に訪問したり、風評被害対策で常磐ものの料理教室をしたり、多くの子どもたちと触れ合いました。
この活動はコアな僕らの仕事なので、引き続きやっていきたいと思います。

大倉:来年以降のトピックスを2つだけご紹介させてください。
まず1つに、JリーグがSport Positive League(SPL)に参画します。一体これは何のリーグかというと、環境問題の指標を評価・順位付けをするというようなイギリス発祥の仕組みだそうです。
イングランドプレミアリーグをはじめ、欧州の4つのプロサッカーリーグが参画している中で、環境に対して何をやっていますか、ということを点数化されて順位付けされます。
来年から60クラブの中で、いわきFCがどれだけ取り組んでいるのが公表されます。
これは2年前から参画することが決まっていたので、脱炭素経営を支援するグローバルスタートアップ 株式会社Zeveroと連携し、環境に対してどういう風に向き合っていくのかというポリシーを作っています。普段の活動で出しているCo2排出量を全て見える化していくことから始まっています。

もう一点が、田坂さんがスポーツディビジョンのダイレクターとして、平澤がスポーツディビジョンのマネージャーになることがリリースされたと思います。いわゆる強化部という部署になります。
今のチーム作りはスカウトの平松中心に見て、僕や監督含めて、みんなで判断してという流れです。が、次の10年を考えたときに、もっともっといい人材を見つけて、しっかりと育てていかなければいけないと。監督への負担も大きく、役割分担をしっかりとしていこうとなりました。
田坂さんは現在、上武大学で監督をしていますが、選手を育てるとか見る目があるということ、さらに人脈もあり、適任であると判断しました。
スポーツディビジョンというのはスポーツ部門です。トップチームとアカデミーの総責任者として、トップチームはもちろん、アカデミーの指導者育成なども含めてお願いしました。

平澤は地域推進でマネージャーを務めており、いわきFCでキャプテンを務めていました。皆さんもご存知の通り優しい性格で、人に寄り添うことをしっかりとできます。
現役引退してからは営業や地域推進などを経験し、来年からは強化に加わり、チーム作りを回していきたいと思っています。

大倉:最後に、スタジアムはこのようなスケジュールで進んでいきます。
今年の6月に整備計画を提出し、J1ライセンスを例外規定によって交付されていて、27年11月に着工を目指して、逆算して今様々なことを行っています。
で、今何をしているのかと言いますと、今年10月から基本計画が始まっていて、様々な要件などを整理している段階になります。これを来年4月まで行い、基本設計が来年5月から基本設計に入ります。ここからいよいよゼネコンさんとか、本格的に総工費がいくらになるのか、少しずつ見えてくる状態になります。

基本的に我々が別会社を立ち上げて、クラブがスタジアムを保有したいと思っています。
結構チャレンジなのですが、自分たちで保有しないと自由に使えないし、収益も増やせない。ただ一方で様々なリスクを払うので、そのリスクをどれだけ減らせるか。
クラブのものではありますが、地域が主語だと行っている以上は、色々な方に絡んでいただいて、まちづくりの中心になれればと思っています。
借り入れもしてきますし、結構リスク背負ってやりますが、ぜひトライしたいと思っています。
気持ちとしては、クラブを作ったときに「ムーンショット」というマーケティング用語を当時使っていましたが、今も同じ気持ちです。第2のムーンショットだと思って、やり切ろうという決意を持っています。
ぜひ前向きなコメントをいただいて、一人でも多くの仲間と作っていきたいなというのが何よりなので、よろしくお願いいたします。

田村:私の方から現場サイドの振り返りをさせていただきます。
ご存知の通り、今シーズンは15勝11分12敗で勝点56。得点55、失点22、得失点差は11ということで数字の通り、後半戦巻き返しました。
昨年のクラブカンファレンスで「ホームでなぜ勝てないんですか?」と質問を受けた記憶がありますが、今年はホームで皆さんと多く喜ぶことができてよかったと思います。引き続きホームで勝てるように、全試合勝てるように頑張っていきます。ここからデータで振り返らせてください。

田村:年間9位でした。昨年を超えたところは矢印で赤く記しています。
得点数を上げることができましたが、失点が44で増えてしまいました。イコールで得失点が昨年より悪い成績になっています。

田村:後半戦だけで見ると2位です。選手もだいぶ手応を持っているような感じなので、クラブと話し合いながら今いるメンバーを少しでも残すことができたらいいなと思っています。

田村:毎年のことながら攻撃回数は1位ですが、奪われたら守備に回るので、被攻撃回数は最下位。しかし、シュートまで持ち込まれる回数は少ないです。もっというと、被チャンス構築率も1番少ない。
被ゴールは昨年と同じ感じで、被シュート成功率は昨年より落ちてしまったということです。
シュート本数やチャンス構築率、ゴール数も良くなりました。ただ、シュート成功率は昨年より下がってしまったというデータです。

田村:昨年はセットプレーからの得点が少なく、クロスからの得点が多かった。失点も同じです。
今年は逆になってしまい、課題はクロスからの失点です。逆にセットプレーに関しては、実は中断明けの千葉戦からゾーンで行っていた守備を変えて、マンツーマンの守備に変えました。変えた後、セットプレーから直接の失点はゼロになりました。
途中で修正して見えてきた部分もありますが、クロスからの失点は引き続き課題だと思っています。

もう少し、攻撃と守備の部分を細かく掘っていくと、今年はゴール期待値がxG 57.9に対して、55得点でした。本当ならば、もう2〜3点ほど取れたらよかったと思います。ただ、チャンス構築率など攻撃面のスタッツは向上しています。
昨年の課題だったウィングバックの得点は、五十嵐選手や加瀬選手などの得点が増えたので、チーム全体として得点が取れていたと思います。
一方で昇格したチームやプレーオフに進出したチームと比べた時に、各クラブのエースが2桁得点をしていることは事実です。
水戸だったら渡邉 新太選手が13得点、長崎マテウス ジェズス選手が19得点を記録しています。

例えば、熊田選手は3得点だったがゴール期待値はxG 9.476 あったり、キム選手は3得点でxG 3.908、加藤選手は2得点でxG 3.347です。
この選手たちがもう少し期待値に沿って得点を重ねてくれたら…とも思えますが、課しているタスクが多いので、一概にそうは言えないなとは思っています。
が、課題向き合ってもらいながらも、期待値に沿って得点を重ねるトレーニングや 仕組みを考えていきたいです。

田村:続いて守備です。被ゴール期待値 xG 43.4に対して、44失点でリーグ7位。失点は昨年より増えてしまいましたが、守備のスタッツを見るとデュエルやこぼれ球奪取数、タックル数は1位です。
PPDA(Passes Allowed Per Defensive Actions/ハイプレスの強度を測る指標)は6.91で圧倒的です。6台はいわきFCだけです。
圧倒的に前線からボールを奪えたことを示しているのですが、ボール支配率は47.3%です。
深掘りすると、世界の5大リーグのクラブは、ボール支配率が50%もしくは60%を超えています。
選手たちにどういう風に伝えていくかも含めて課題なのですが、今後はボール支配率50%を超える努力をしていかなければ、世界から遅れをとってしまうかなと思っています。私からは以上になります。

大倉:多分、みんなが聞きたいのは、前半戦がなんで勝てなかったの?っていう感情的な話だと思ういます(笑)

田村:まあ、色々な理由があると思います。始動日に怪我人で入ってきた選手もいれば…

大倉:もっと言うと、監督が熱出したとか!珍しいですよ。雄三とは長い付き合いですが、熱出したのは見たことなかったです。
新体制発表会の時も病み上がりで、ゲソっとしていたから(笑)

田村:そうですね(笑)
あとはキャンプの時に、ストレングストレーニングやスプリントトレーニングを行っているのですが、例年のようにゲーム体力は必要なので、トレーニングゲームを30分→45分→90分で組みましたが、スケジュールがタイトで、疲労がかなり溜まってしまったのかなと振り返ります。

チームについて

Q.いわきFCは、何年までにJ1を目指しますか?
大倉:
冒頭でお伝えした通り、今年の売り上げが15億円で、上位6チームは約30億〜50億円ですので、現実はそんなに甘くないと思っています。
しかし、我々はクラブ予算以上の価値があるというものをやってると自負しているので、十分今年の後半戦や去年の戦いを見ていると可能性はあると感じています。
当然、J1に昇格したいっていう気持ちはあるものの、新スタジアムができると恐らく20億円に達するのではないかと思っているので、これが一つのブレイクスルーになると考えています。

Q.今シーズンはなぜスタートダッシュに失敗したのか?
田村:先ほどの振り返りに加えたコメントをすると、毎年見ている方はわかると思うのですが、今年守備のやり方をマンツーマンに変えています。ヨーロッパなどでは主流で、いわきFCの取り組みや背景を考えたらできそうだ、という感じでトライしてみました。
わざわざリスクを負って、ハイラインで敵陣に奪いにいく。その逆はボールが来るのを待ってればいいので簡単です。
もしかしたら、今我々が戦っているリーグにあってないのかもしれないが、そのスタイルを貫くことが魂の息吹くフットボールだと思っているので、思い切ってトライしてみたということになります。
難しいことにチャレンジしたので、もしかすると選手の中でもそういったギャップがあったのかもしれません。

Q.百年構想リーグと2026/27シーズンがありますが、目標戦績やその目標に対する補強ポイントは?
大倉:百年構想リーグは昇降格がないので、2026/27シーズンに向けての準備から本番のような位置づけになりかねないです。いわきとしては、新加入選手が慣れるまでに時間がかかるので、いい流れかなと思っています。
クラブとしては今年主力で活躍していた選手をなるべく残す交渉を進めています。選手との面談をしている段階なのですが、選手たちの手応えはあると思います。
選手からしてもモチベーションの維持が難しいと思いますが、監督とはEAST-Bの1位になって、優勝を狙いに行こうと話しています。

Q.期限付き移籍選手との契約について、基本的な考え方をお聞かせください。
大倉:
1番は戦力的な補強です。もう1つは、日本サッカー界のために、今くすぶっている若い選手を預かり、育てて鍛えていこうと考えています。もちろん移籍金収入はありませんが、日本サッカー界のためになるのであればと思っています。所属元のクラブには、対組成などをしっかりとフィードバックしています。

Q.アカデミーからトップチームに上がった選手が活躍するという未来は何年後くらいにありますか?
大倉:今年から湯本温泉の旅館を一棟借りして、ようやく環境が整いました。来年から少し県外の子も増えていくかなと思っています。
もちろん、アカデミーからトップチームに上がるっていうのが理想だと思いますが、いつも言っていますが市内の子供の数が都心に比べて少ないので確率的には低いです。
一方で、小学校6年生のトップスリーの子はJヴィレッジさんにいったり、鹿島アントラーズさんに行ったりして、獲れていないのが事実だと思います。
ここの強化はしていかないといけないので、田坂さんにも来てもらって指導者の育成やスカウトをしっかりとしていきたいです。
今ここで何年後というのは言えませんが、そこの意識は当然持っております。

試合運営について

Q.仮設スタンドなどハワスタの収容人数を増やし、入場料収入を上げるように議論や試案はあるのでしょうか?
川﨑:
ご存知の通り、Jリーグ60クラブの中で一番収容人数が少ないのがハワスタになります。高い収容率を出しながら頑張っていくところではあるのですが、入場料を増やしていくということにおいては、収容人数の上限が見えてきていることもあり、難しさを感じています。
仮設スタンドなどの設備投資を伴うものは、クラブの方でコントロールをするのは難しいと思う一方で、クラブ内でも議論をしています。
例えば、ピッチサイドシートやペアシートは今年初めて運用したところ、年間600万円ほどの収入増に繋がっています。これらの企画席などで入場料収入を少しでも上げていくことや、皆様の顧客体験を上げていく努力をしていきます。

Q.試合当日のタイムスケジュールがタイトである。現実的にイベント、スタグル、物販等は長蛇の列になることも多く、待機列整理から逆算すると楽しみきれていないのが実情。グッズ購入の待機列抽選があると嬉しいです。
川﨑:
施設のスペースに限界がある中で、これ以上ブースやスペースを増やすことは難しいと感じています。実はホームゲームの際に顧客満足度調査と呼ばれるアンケートを行っています。
赤枠で囲った部分がグルメの混雑、グッズの混雑、トイレに関する課題です。
青と緑が満足に値する部分なのですが、この3つは50%を下回っています。年4回実施したのですが、いずれも同じような結果だったのでクラブとしても課題があると認識しています。
これをどうにか運用で混雑を回避したりできないか、というところでバックスタンドの一部を指定席化させていただきました。引き続き改善策を模索していきたいと思っています。

Q.今回チケット完売は多数あったが5,000人超えるのが去年より少なかったです。ハワイアンズスタジアムいわきの収容人数を上げる為には何が必要かお考えはありますか?
川﨑:
ハワスタの収容人数が5.066人で5,000人を越えるのはとても難しいです。チケットを持ちながら当日来れなくなった方もいらっしゃるので、5,000枚を超えるチケット発券をする必要があり、非常に緻密なチケットコントロールが求められます。収容人数を超えることは良くないことであり、安全性が担保できません。
もちろん、いわきFCでは年間16回以上来場いただいている方がすごいペースで増え続けています。一方で、年間1回〜15回までの方の割合は減ってきている。Jリーグではよく3回の壁というのが存在しますが、いわきFCでは、1回の壁がするのかもしれない、なんてことも見え始めていて、より新しい層(まだ来場したことがない)の方々に一度スタジアムに足を運んでもらえるような努力が大事だと思っています。

Q.ホームゲームのチケットが早々に完売した場合、ハワスタ近辺で有料パブリックブーイングを催す考えはありますか?
川﨑:
考えたことはありますがチャレンジはできていません。駐車場やアクセスの課題はありますが、引き続き検討していきたいと思います。

クラブの今後について

Q.J1基準のトレーニング設備の整備計画は、どのようになっていますか?
大倉:
ルール上はJ1に昇格したら3年以内に練習場を天然芝にしないといけません。これは選手の怪我などの問題もありますので、引き続き検討していきたいと思います。

Q.もっと気軽に身近にパブリックビューイングできる機会など増やしていただいたり、サッカーを通じて高齢者の社会的孤立を解決いただけると嬉しいです。
大倉:
クラブとしては認知症サポーターの取り組みもしていますし、日本で初めてDisability Liaison Team(DLT)を設置しましたので、新しい組織図にもしっかりと入れています。そう言ったことも踏まえて、社会に対して全員が平等に見れるような機会を増やしていきたいと思いました。
アウェイゲームの際には、多くの方々はパブリックビューイングに来ていると共有を受けていますので、そう言った来場者数も追いかけていきたいと思います。

Q.10年前と比べカテゴリーや市民から見られる姿など立ち位置が変化したと思うが、クラブや社長の思いや考えで、変わったことや変わらなかったことを教えてください。
大倉:
考えは今も変わりません。が、皆さんから気づきをもらえたり、自分で感じることもあるので、変わらないために、変えていく。僕というよりかはクラブとしての理念なので、変えちゃいけないという思いがあります。
変わったことは、雄三の白髪が増えたなって(笑)
なんかこの前横顔見た時に「こんな白かったっけな?」って(笑)
当たり前のように、歳を重ねていきますが、逆に若いスタッフが成長しているので頼もしいなと思っています。

Q.サッカーの興行だけでなく、利益を上げるために何か考えていることはありますか?
大倉:
現状はありませんが、新スタジアムをクラブで所有することで利益が上がると思っています。
行政がもつと、当然クラブとしては借りるだけになってしますので、しっかりとそこで稼ぐということで違う形での収入になってくると思います。株式投資などは勇気がないので、考えていません(笑)
現状、いわきFCパークを株式会社ドームが所有し、委託を受け、家賃収入などでビジネスが生まれているので、そのような経験を新スタジアムに繋げていきたいと思います。

モンテディオ山形さんは、新スタジアムのピッチ全面2160坪を会員と共に支える新しい会員制度を発表しています。つまり、サブスクのような形で自分の芝生があり、芝生の維持をしていくと。そこからシュートを打ったら「おい、今俺の芝生からシュート打ったぞ!」みたいな(笑)

今後スタジアムを作っていく中で面白い企画は出していきたいなと思っています。

Q.ホームページから写真等を使わせていただいてゲーフラ等を作成しているのですが、使っていいのかどうかわからないので、その辺りのルールを明文化してはどうか。
川﨑:
クラブで明確に示してはいないものの、Jリーグのサイトで公表しているような形で、クラブとしても明示することを検討したいと思います。

Q.いわき信用組合さんの一件について、クラブの考えを教えてください。
大倉:
問い合わせも多くあり、ご心配されている方も多くいらっしゃると思います。
もちろん、先方とも話し合っていて、現状の露出は控えています。しっかりと精査した上で最終的にどうするのかを引き続き議論したいと思います。
コンプライアンス的には、契約を解除する方がいいのではという気持ちももちろんあります。
しかし、賛否両論あると思いますが、クラブとしては長年支えていただいていますし、いわき市の中でのプレゼンスはあるので、その辺りを理解したうえで、様々な方と相談しながら対応を考えているところです。

Q.Jリーグチケットのリセール機能で高校生以下のリセール数が多いいです。収容率を上げていくために、大人のチケットに変換はできないのでしょうか?
川﨑:
検討させていただきます。

Q.選手の契約期間を公表されるようになりましたが、その意図とどのような仕組みになっているかを教えてください。
大倉:
シーズン移行するにあたり、様々なルールが変更されています。
例えば、プロABC契約の撤廃やプロ契約締結初年度の報酬上限規制の緩和、基本報酬の下限が新設されたりです。また、契約というのは基本的に複数年持っていますが、来年はいるけどその後は不明、のようなリリースが主流でした。つまり、Jリーグ全体として、世界基準に合わせていこうという流れがあります。
あとはクラブがやるか、やらないかなのですが、我々はフィロソフィーの中にある行動指針の一つに「THINK BY WORLD STANDARDS(世界基準で考える)」があります。
今回は、広報の栁澤を中心に、世界基準で考えると契約もオープンにしていくべきだとありました。最初は僕もどうなのかな。と思いましたが、世界基準で考えると契約期間を出していこうという結果になりました。
つまり、仕組みを説明すると、この契約期間はいわきFCでプレーできる期間ということになり、途中で違約金を支払えば、移籍ができるということです。

Q.アクチュアルプレーイングタイムが短いと思うのですが、スピーディーにリスタートできないのでしょうか?
田村:
ロングスローは攻撃の中で大事なプレーであり、全てデザインしています。
また、スローインをマイボールにすることはとても大事な要素で、海外だとスローイン専門のコーチがいたりします。キャンプの中で、クイックにリスタートしてマイボールにするトレーニングなどをやっているのですが、それが少し薄れてしまったと思います。もちろんデータ的に良くないというのも理解していますので、引き続き課題に向き合っていきたいです。

Q.シークレットグッズの中に大倉社長や田村監督が出たら面白いと思っています。
川﨑:
かしこまりました。会場にいらっしゃる方々の拍手を聞いてニーズの高さを感じました。やります(笑)

Q.先日行われたレフェリーブリーフィングの中で、基準のブレがあったと振り返っていました。それに対して感じることや、来シーズンに向けて思うことがあれば教えてください。
田村:
前提として、レフェリーも人間のなので必ず間違いがあると思っています。もちろん、基準を明確にしてもらいたいという気持ちもありますが、僕は試合前から積極的にレフェリーの皆さんとたわいも無い話をしながらコミュニケーションを取るようにしています。
皆さんは、いわきの選手は倒れないけど、いわきの選手にちょっと当たられたら倒れる、と思っているかもしれません。極端なことを言ってしまえば、それもサッカーだと思います。
が、それで倒れていたら倒れたままだなと。我々は倒れずに、レフェリーに文句も言わずにしっかりプレーする。そのスタンスは変えずにこれからもやっていきたいと思います。

大倉:おっしゃる通りで、選手の怪我も増えていると思います。できればJ2にもVARが入れればいいなと思っていますが、これはお金の問題ではなく、人の問題です。
今はタレントプールがいないので、大学生などでレフェリーを志している子の人材育成の方にJリーグは力を入れています。
こればかりは数年かかることなので、監督も言ったようにこれもフットボールと割り切らないといけないと思っています。
一応、試合前日にアナリスト 村上からレフェリーの分析共有もあります(笑)

Q.百年構想リーグでの目標をホームページのトップ画面に出してほしい
大倉:
何らかの形で検討させていただき、少しでも皆さんに足を運んでいただけるようにさせていただきます。

大倉:改めまして、1年間ありがとうございました。
来年1月5日(日)から始動し、鹿児島キャンプを経て、開幕に向かっていきます。
スケジュールを俯瞰してみると6月に閉幕し、8月には2026/27シーズンが開幕するので、結構タイトです。選手にも伝えているのですが、皆さんも一回リセットしていただいて、また元気な姿で来年お会いしたいと思います。また来年お会いしましょう。本日はありがとうございました。